C&Rの川に初挑戦・・・其の弐

  失意のどん底の中で、釣り開始です。
 最初のうちは、気の弱い私は遠慮して、皆さんの模範釣技やタックルシステムを見学させてもらい、技術と知識の習得と向上に努めます。 というのは真っ赤なウソで、真っ先に一等地に陣取り一番乗りでキャストします。 どうやら、一番良い場所を譲っていただいたようです。その時点で、魚とフライと自分以外は眼中から消えてしまう自閉症的瞬間アルツハイマー症を発症し、 今回の川治FF研修会の目的はきれいサッパリ忘れ去られました。
 川の色は、乳白色の含重曹硫化水素泉で、泉温は約16度とややぬる目。魚のお肌もすべすべと滑らかそうな水質です。 美人の岩魚姫がひそんでいる雰囲気です。でも、辺りを見廻しても、女性用露天風呂のポイントは見当たりません。 その代わり、20cm程の魚がライズを繰り返し、あちこちにフィーディングしてます。こりゃ〜ぁ楽勝かも・・・・。との期待が頭をよぎります。

←私がキャストしたC&R区間の全景。橋の下の瀬からの流れ込みで、けっこう大きな魚がライズしてました。

 魚が小さそうなんで、#18のディアヘアーカディスでスタートです。ライズを繰り返している魚の鼻先めがけてキャストします。いい感じでフライを落としました。魚がフライを認識し、近寄って鼻先を近づけてきます。目の前までフライが来ました。「それッ。喰えッ。」と心の中で叫びます。「ありゃッ(^_^;)?」・・・・いつもなら、その時点で「パクッ!!」「よっしゃーぁ!!」なんですが、ここでは、「クルッ!!」とそっぽを向きます。ムキになって同じ魚をめがけてキャストしますが、三度目には体をくねらせて、わざわざ避けて通ります。スレてます。私の靴下のように地肌が透けて見えるほどスレきってます。楽勝の見通しが、幻と消えて行きます。

 気を取り直して、解説書通りの魚が潜んでそうなポイントに狙いを付けてキャストします。 「ポシュッ」とフライにアタック。ヒットーォ!! 22cmのニジマスがネットに納まりました。ヤッタ〜ぁ。「ゆるッしてッ、つくッしてッ、そばにいて〜」の男鹿川の「ニーナ」ちゃんは、けっこう体に傷があります。失恋直後なのかもしれません。
 なんか川でニジマスが釣れるのは、どうもミョーな感覚です。ハヤよりは嬉しいけれども、岩魚よりは嬉しくないような・・・・。思うに、ニジマスは管理釣り場で釣れる魚であって、渓流に存在するという認識が私の頭の中で確立されていないのが原因です。
 ともあれ、蝉丸の危険を早々に回避しホッとしました。場所を変えて流すと再びニジマスのアタックに恵まれ、2匹目ゲットです。
 2匹のGETでホッとして、ここで周りの状況や皆さんのフィッシングスタイルに目を向ける余裕が出てきました。さすがに皆さん、無駄なくソツないスムーズな動きです。ここで水面に浮いているラインに気が付きました。みなさん、ラインがきれいな一直線でポイントに伸びています。試しに、にしざわ先生のキャストに合わせてキャストしてみました。にしざわ先生のラインはストレートなのに、私のラインはミミズがくねったようなラインです。ガーン!! これはどう見ても流れのせいではありません。使っているラインの値段のせいでも無いような気がします。

 カルチャーショックを受けてしまったので、ヘタなキャストをなるべく見られないように皆さんから遠ざかり、場所を変えて足元の瀬の流れ込みに定位しているイワナを狙います。何か小さな浮遊物を捕食のため、盛んにライズを繰り返しています。本命のイワナを釣りたい一心でこれを狙うことにしました。

 まずは、案外デカいフライの方が効果的かも・・・と思い、#16のヌケルヘアーを流します。ここでもやはり1回見に来ただけで、匂いをかいで反転してしまいます。そこで、ふだんやり慣れないフライローテーションをやってみます。ヌケルヘアーに始まり、#18ドングリナットウ・スペントダン・#20アダムス・アント・#22ドングリ・CDCダンと変えてやりました。違いました。これって、はっきり言ってフライローテーションじぁありません。熱くなってフライをトッカエヒッカエしてるだけです。でも、全然釣れそうな気配ではありません。

 万策尽きた感じです。失望と落胆に襲われながら、少し冷静に原因を考えます。フッと思い出しました。のらぱんだ師範の「ティペットは最低8Xですねぇ」という一言、そして車の中にピーコックアイで巻いた#22と#24のミッジピューパを数本持っていることを・・・・。
 さっそく車に取りに行き、10Xのティペットは、にしざわ先生にお願いして分けてもらいました。これで釣れなかったら、帰り支度をするしかありません。背水の陣です。

 さっそく#24のピューパを流します。四時川や管理釣り場では水の色に同化して、キャストしてもどこに行ったか丸っきり分からないピンクのCDCフェザーの目印がとても良く見えます。たぶん水の色のせいでしょう。魚が「チャポッ」とライズしてきました。
フッキングまでにはいたらなかったもの、最後の「パクッ!!」まで持っていけそうなアタックに、可能性が拡がります。魚が捕食している流下物はもっと小さいようです。そこで、CDCの量をカットしてなるべく目立たないように、サイズを極小化してキャストしてみます。水中から魚がひらひらと浮き上がって、フライを見に来ます。鼻先で匂いを嗅ぐまでもなく、飛沫音とともに「パクッ!!」と来ました。「ヤッターぁ!!」ついにフィッシュ・オン!! 上ってきたのは20cmの斑点模様のイワナです。(p^-^p)
このポイントで、連続5匹立て続けにキャッチしました。
 お昼近くなり、にしざわ先生とのらぱんだ師範がご都合により帰宅されるということになり、お礼のご挨拶とお見送りの後は、漁協の皆さんに用意していただいた「チャンチャ焼き」「みそ汁」などをごちそうになりました。漁協のスタッフの方々も気さくな方ばかりで、アットホームな雰囲気が、雨で濡れた体を温めてくれます。食事中同席していただいた大木さんは、FFの雑誌でお名前を拝見したことがある方です。いいですねぇ。こういうのって。

 食事中、ご家族で来られているビザールさんのお嬢ちゃんと、家元さんの上のお兄ちゃんの話に聞き耳を立てます。

 
お嬢ちゃん・・・「全部で4匹釣ったよッ。」

 えッ!! 俺、まともにやっても2匹しか釣れないのに、なんでそんな釣れるのォ? ショック!! でも、トータル7匹釣ってるんで、とりあえず心の中で安堵感を浮かべます。

 
上のお兄ちゃん・・・「いいな〜ぁ。おとーとは2匹釣ったけど、ボクはまだ1匹も釣れないんだ〜ぁ。」

 素直ないい子だねッ!! 見栄を張らずに、正直に他人の釣果を羨ましがれるなんて・・・。 私だと、「う〜ん、なんとか1匹かなーぁ」なんて言ってしまいそうです。お兄ちゃん、釣れる方が異常なんだよっ!! ここの魚は変なクセのついたへそ曲がりの魚ばっかりなんだからさッ。でも、あきらめずにがんばれよッ!! と、心の中でつぶやきます。


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