初恋の春


今日も、私のお休みは子守りの予定です。
子供を連れて市内の川にお散歩に出かけます。

川べりを散歩しながら見ていると、鯉が水中で盛んに何かを捕食してます。試しに、用意してきたパン屑を投げてみると、沈みかけのパンをワリと無警戒に食べてます。

そうなると我慢ができなくなりました。
ダッシュで駐車場に行き、師匠から無期限拝借中のオービスMarkU#7とマリエットを出してきて、ラインを通しました。こういう事もあろうかと、用意してたんですよーぉ。

イメージとしては、上流からゆらゆらとフライを流して、フライを水中の鯉の口元に持っていく感じでいたものの、今日は風が強くて、魚の後ろの方にフライが落ちてしまいます。それに巻いているラインが、シンキング・タイプTなので沈み根にラインが引っかかって、上手くドリフトしてくれません。

そうこうしているうちに、たまたま流していたフライに向って、大群の鯉が泳いで来ました。「シメシメ。。。」上手くすりゃ、サカナの口元にフライが流れていくかもしれません。そう思って、身構えます。
「ありゃりゃ(・_・;)?」みんな素通りしてしまいました。私のフライなんか見向きもしません。ムシ・・・・・。

シャクにさわるので、ラインを引っぱって、群れの1m先まで水中を引いてきます。
まるで、フライ雑誌に出てくる九州の名人みたいです。
「うりゃーぁ、これがワシの水中パワーフラッタリングじゃーぁ!!」(^^;)
フライは水中で魚たちを追い越して、群れの1m上流から流れはじめました。で、やっぱり完全無視されました。。。

しばらく下流に歩くと、岸際の深みで口パク中の鯉を見つけました。
やっぱりキャストしたフライは、魚のはるか後方に落ちます。
今度は、水中をそろ〜りそろ〜りと引いてきて、サカナの左60度前方からナチュラルドリフトします。ナチュラルドリフトと
いうよりインテンショナルドリフトです。

上手い具合にフライはサカナの口元に吸い込まれました。
ピシュッ! 鋭い合わせを入れます。ところがフライは鯉の口元から、まるでチュッパチャップスのようにスポンと外れました。鯉は一体何が起こったのか判らないといった風に、一瞬ポカーンとして固まってます。で、一瞬の間をおいて、一目散に逃げていきました。

くやしーぃ! 口の中にはいったのにーい!!(>_<)

またしばらく歩くと、橋の下をくぐります。
先を歩いていた末っ子が「おとうさーん、あそこにナンカ変な物がいるよッ。怖いよーぉ。」とすがりついてきます。 はて? 指差す方向を見ると、ゴミの山の中にモソモソッと動く物が・・・・。一瞬つられて「ビクッ」としましたが、判りました。
ホームレスのおじさんでした。そりゃ子供には、ちょっとコワイのが解るような気がします。

橋をくぐって、私がよく利用するラブホの裏に来ました。
ウソです。そんなところには、私は入ったことがありません。いったい何をする所かも全然知りません。広いお風呂がある事も、大きなダブルベッドの枕元にオカモト理研さんの製品が置いてある事も、平日フリータイム¥4,250−であることさえ、全然知りません。(・・ )( ・・)

で、そこにも、口パク状態の松田聖子風鯉がフィーディングしてます。
例によって、サカナの1m上流まで、フライをパワーフラッタリング。
おもむろに、ナチュラルドリフトに切り替えます。

今度も上手くサカナの口の中に、フライが吸い込まれました。
先ほどの失敗を繰り返さないように、一呼吸おいてからラインをハネ上げます。

「フィッシュ!!」

それからのやり取りの長いこと、長いこと。。。
上に行ったり、下に行ったり。。。対岸の歩道を通りかかる人たちが、ジロジロ見ていきます。ちょと鼻が高いような恥ずかしいような、妙な気分です。

15分ほどの格闘の末、ついに聖子ちゃんをランディング。

岸に打ち上げられた私の「初恋」は70cm弱くらいのサイズです。
今日はおとなしく釣りを見ていた末っ子が駈け寄ってきて,魚を覗き込みます。
「おとうさん、お魚さんが怒って、睨んでるよ。。。」
たしかに・・・・・。
目を剥き出しにして睨んでます。「瞳はダイヤモンド」というより
「眉間は早乙女主水之介」という感じです。




アップで見ると、かなりコワイ流し目です。。。(-_-;)?
目が血走ってます。
結膜炎に罹ってるんですかねーぇ。(^_^;)?

フックを外してやると、元気に流れに戻って行きました。
結局、フッキングした魚は3匹。1匹は岸に寄せて写真を撮ろうとした瞬間にフライが外れて、逃げていきました。もう1匹はフッキングした瞬間に下流に走り、反転してきた時には、水中の杭にラインが巻きついて、ブレイク。


でもでも、今まで管理釣場でしか釣果の無かった師匠のオービスで、はじめて野性の魚を釣りました。幾年も師匠とともに歩んできたこの竿の歴史に、私の手によって新しい記憶が刻まれました。

休日の束の間の鯉釣り。
私のフィールドがひとつ増えました。今夜は、また鯉フライを巻いてしまう事になるのでしょう。(笑)

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