会社から戻って数分もしないうちに着替えて、クルマに乗り込みました。 目指すのは、今年初めての福島の渓流です。 例によって、カーオーディオから音楽が流れます。今回の曲は、いつもとチョット違います。 60年〜70年代の和洋折衷メドレーで、CDではなくてカセットテープが音源です。 ルーベッツ?の「シュガー ベイビー・ラヴ」が流れてきます。 当然、デカイ声で歌うAstrum。 ♪♪ アーアー リャリャリャリャーリャリャー ララララ〜ララ ルルルゥー アーアー アアアアーアア ララララ〜ァ ルルルルル〜ゥ しゅがーべいびらーぶ、しゅーがべいびらーぶ、あいどんみーんとぅめいきゅぶるーゥ (デュッ デュワ デュッデュデュワデュワ・・・・なぜかバックコーラスもついてたりして・・・・笑) ♪♪ 「シュガーベイビーラヴ」のあとは、グランドファンクの「ロコモーション」。 なんたら千賀子さんだったかが歌った「街のどこーかーに、寂しがり屋がひとーぉり」っていう歌、どこやらのり子さんだったかの「フランシーヌの場合」、郷ひろみ「男の子・女の子」、裕次郎「嵐を呼ぶ男?」と続きます。 (なんちゅうシュミのテープなんでしょう。。。。) 今回目指す川に辿り着くまでには、薄気味の悪い峠を越えていかなければなりません。 山道に入ると、真っ暗でかなり不気味です。ついついステレオの音量がデカくなります。 そこで、事件は発生しました。 時間は午前3時36分。 4時には、川に着ける時間です。 薄気味悪い杉木立の坂道を、愛車「おさわりくん」のヘッドライトが切り裂いて駆け登ります。 突然ヘッドライトに浮かび上がった真っ白い1m四方の四角い物体。 道路の真ん中で、縮んだり広がったりしてます。 「ギョエーェー!!で、で、で、でたーァ!! 一反もめんだーァ。。。違った。。。ヌリカベだーァ!!」 恐怖で私の前髪の妖怪感知センサーが、ピピピッと逆立ちます。 ヘッドライトに照らされた白い物体は、私の車を避けようと路側帯の方に移動しました。 も、も、もしかしたら、神峰動物園から脱走してきた白クマ? シルバーバック? それともアルピノ種のタヌキ? 車をソロリ・ソロリと走らせながら、窓越しにその白い物体を観察します。 白い毛布?みたいな中から、小さい顔が見えました。眼だけが異様に光って見えます。 「ええーッ!!こども??? 子供だよーぉ。。。」 一瞬「呪怨」とか「ポルターガイスト」とか「サイコ」といったホラー映画の「怨霊」では・・・・という恐怖が頭をよぎります。 しかし、もしかしたら何かの事情で置き去りにされた幼児かも知れん。。。と思い、コワゴワと車の窓を開けて「キミ、こんな時間にナニしてんの?」と訊きます。 帰ってきた返事は、意外にも20歳くらいの青年の声でした。 「峠を越えて塙町に行こうと思ったんだけど、戻るところです。」 「何で行こうとしたの?」 「歩き」 「ウチ、どこ?」 「北茨城」 「なんでそんなカッコしてんの?」 「寒いんで。。。」 要するに彼は、無謀にも歩いて峠を越えて隣の町を目指したがあきらめて戻るところで、寒さと疲れで座ったり立ったりしながら町に戻るところなのだということです。 外気温は7度くらいでしょう。確かに、寒そうです。 一瞬、車に乗せていってあげようかと思いました。 しかし、どう考えてもヘンです。なんか腑に落ちない部分があります。あまり関らない方がよいかも知れん。。。というAstrum的猜疑心のかたまりから、無視して走り去るという判断を下しました。 車に乗せた途端、クチビルが裂けて鼻がモゲて眼球が飛び出てきてゾンビになる可能性だって無きにしもあらずです(・_・;)? 彼が立ち上がったのをキッカケに、Astrumは非情にも、彼を置き去りにしてきてしまいました。 【以下、再現シーン】 こんな暗い山道。 道路の左右は、鬱蒼とした杉林。 時間は、午前3:30。 そんな暗闇の道路の真ん中に・・・・・。 ↑↑↑ こんなカンジの白い物体が広がったり縮んだりしながら、ふらふらと道の真ん中を。。。 ハッキリ言って、コワすぎます。 ※再現写真協力……Astrum次男(笑) 戻って、彼を乗せて麓まで戻ってあげようか・・・・という後悔に似た気持を抱きながら、川に到着。 で、空が明るくなって川でロッドを振りはじめた頃には、そんなヘンな青年のことなど頭から丸っきり飛んでいってしまってました。 さて、チョット気温が低いのが気になりますが、ついに来ました。 今シーズンの実質的初釣行。 水に入ると、かなり冷たく感じられます。 こんな冷たい水温でサカナが反応してくれるかどうかが心配でしたが、3投目くらいにチャポッとアタックがありました。 アワせきれなかったものの、水面を意識しているサカナがいることにチョット安心。 こんどは瀬から流れ込んだ周りよりチョット深くて緩い流れに目をつけたAstrum。 ここはサカナが出るんじゃないかーァ? などと独り言をつぶやきながらキャスト。 2投目にアタック!! ビンゴーォーォー!! ヤッターァ!!・・・・ヽ(^O^)ノ ラインを手繰って足元まで寄せてくると、白っぽい斑点のあるサカナです。 「ヨォッしゃーぁ!! イワナだッ。 早く、タモ、タモ!! タモ出さなきゃ・・・・。」 嬉しくて焦ると、ついつい磯釣り言葉になってしまうAstrumなのです。。。(・_・;) 背中のランディングネットに手をかけ、引っ張り出して差し伸べた瞬間……。 「ギャーぁ。。。。バレたーぁ。。。。(泣)」 今年の初釣果が・・・・。 それもこの川では中々釣れないイワナが・・・・。(;_;) ショックで頭の中が真っ白です。 さっきまで車の中で聞いていた歌が、頭の中でグルグル回ってます。 フランシーヌの場合は、あまりにーもおバカさん フランシーヌの場合は、あまりにーもヘタクソ 4月16日の土曜日、川の朝に 逃げたイワナひとつぅ、フランシーヌ。。。 気を取り直して、釣り上がります。 今日は、ココにはサカナが居ると思われる場所からは、相当高い確率でアタックがあります。イワナも含めてすでに3回、手応えを残したバラシが出てしまいました。次第に「蝉丸=ボ」の恐怖が忍び寄ってきます。 そこで、フライを替えてみます。 反応の感じからすると色は同じでよいと思い、パラシュートからクリップルダンに変更してみました。 さっきから、このパラダンみたいなムシがけっこう飛んでるのが眼についたためです。 で再び、ここにも絶対サカナが付いているぞ!!と思われる場所でキャストすると・・・・。 で、で、で、でたーぁ!! 一発でフッキング。今度はバレないでくれ〜ぇと念じつつ、見事ランディングも成功!! 今年初めて掛かって来てくれたのは、16cmくらいのヤマメ。 この川のフランシーヌちゃんです。 「フランシーヌちゃん、ありがとーぉ。」感謝の気持で、涙します。 けっこう大きな緩流帯なので、もしかしたら「フランシーヌちゃん」のお友達の「ソフィーちゃん」もいるかもしれんと思って、もう一回同じ場所にフライを投げ込みます。 その瞬間!! ティップはツルンと飛んでった。 ティップーぅはどーこに行ったかな? バナナン・バナナン・バナナン……(・_・;) その後もポツポツと釣り上げて、辺りが暗くなるまで夢中で釣りを楽しんできました。ここ数週間の仕事と、釣りに行けないストレスは霧散し、心地よい疲れと気だるい眠気と筋肉痛が残ります。 というわけで、今年初めての成果は、自然渓流では最高記録となる7匹ということになりました。 日の暮れかかった帰り道、置き去りにした青年「腐乱死―ぬ」が、どっかにコロがっていないかキョロキョロしながら家路につくAstrumなのでした。
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