降り立った高原の渓流は、冷たく感じるほど透明に澄んだ空気の中にありました。 そびえ立つ一本杉の上には、抜けるような青空。 秋の気配をまとった空気は、昔、転校していく彼女に、涙をこらえきれずに別れを告げた時に吹いていた、あの風と同じ切なさを感じさせる風の匂い。 何処からか「Crystal・Kay」ちゃんのセンチメンタル・バラード「Tears」が・・・・・。 Kayちゃんのチョっとかすれた歌声が流れます。 ♪♪♪ Still I don't forget your love いつかどこかで偶然に 出会えたら もう一度愛せるよに Till I can forget your love 今はとても苦しいけど 後悔してない 君と遭えたこと..... ♪♪♪ 感傷に浸りながら川面にたちつくすAstrum。 ふと目の前を横切るあのときのままのほっそりした彼女の横顔と長い髪。 もう、秋なんだよね〜ぇ。(;_;) 再び横切るほっそりとした顔と短い角刈りの髪。 ♪♪ 西から昇ったお日様が、ひがし〜へしーずーぅむーぅ。。。 ♪♪ 「・・・・・・・・。」 い、いまナンか、不吉なモノが目の前を横切ったような・・・・? と思ったら、いつものオトモダチの「モモ兄ちゃん」でした。 ちょっと、ちょっとーぉ。。。 ヒトが切ない秋を感じているときに、なんで「バカボン」なんですかぁ。。。と言いつつ入渓準備にかかるAstrum。 ありッ??? な、な、無いッ!! ウェーディングシューズが無いッ!! 車乗り換える時に、入れ忘れちゃったよーぉ(泣) 悲嘆に暮れてます。 「ふっふっふっふ。。。心配無用だよ。明智君。。。」 突然、モモ兄ちゃんに「変人二十面相」が憑依して、言い放ちました。 その手には、Astrumのシューズより13000円も高いウェーディングシューズがのせられています。試しに履いてみると、測ったように私の足にジャストフィット!! この時ばかりは、予備のシューズを常備していてくれた「変人二十面相」様に大感謝です。 シューズを履こうとすると「変人二十面相」様からマッタがかかりました。 「・・・・・? 貸してくれるんだよね?」 「条件付でネ。」 「どんな条件?」 「キミ、ウォーターワームの所有者ではないかネ? 明智君。。」 「へっ? ウォーターワームσ(・_・;)? 」 Astrumは、「ハクセン菌」のキャリアではないことを宣誓し、川に入りました。 今日は、モモ兄ちゃんとともに、片道230kmの裏番台フライフィッシング弾丸ツアーに来ているのでした。 <訂正とお詫び> 2行前の一部の文面に不適切な表現がございました。 正しくは「裏磐梯」の誤りでございましたので、訂正してお詫び申し上げます・・・・・・・Astrum新聞社 さすがに標高600m以上の高原の川です。 何てったって、水がキレイ。冷たい。涼しい。 蜘蛛の巣も無い。やぶ蚊に刺されない。 サカナも頻繁アタック!! (p^-^)p モモ兄ちゃんも、ゴキゲンです。。。(笑) 高原の花にとまったかすり模様の見慣れない蝶が、標高の高さを実感させます。 さっそく16cmくらいのイワナが来てくれました。(p^-^)p 高原の川のクリスタル・ケイちゃん。 この分じゃ、今日の釣果は楽勝かも・・・・・。 たしかに、次から次へと釣れます。 メッチャたのしーい・・・・・・いつもなら、こんな大歓声を上げるんですけど、今日はどうもそんな感じじゃありません。 えッ? なんでかって? 釣れた手応えが、全然無いんです〜ぅ。。。(泣) 大物に備えて用意してきた、ちょっと腰の強いキャップスのストリームトレイル8.6ft #3に葉っぱが引っ掛かったような感触の先に、枝豆と同じサイズのヤマメがプラ〜〜ンとぶら下がって釣れてくれます。 とりあえず釣れた証拠に・・・・・と写真を撮っていたら、水際の石の間に小さなサカナがチョロチョロしてます。 イワナのような縞模様。 「モモ兄ちゃん、コレたぶんイワナの稚魚だよねえ。こんなのがたくさん居るんだもん。この川の活性の高さがわかるよねえ。」 「それ、捕まえてくれない? 写真とるからさあ。」 釣れてきたチビヤマメさんは水溜まりにカッポッといて、そのイワナの稚魚をなんとか捕まえて石の上に置くと・・・・・ありゃっ? 「ねえ、モモ兄ちゃん。イワナの稚魚って足生えてんの???」 「ありゃ? 手がはえてるべよお。。」とモモ兄ちゃん。 「これって、足と違うの?」 「手に決まってんじゃん!!」 「ふーん。。。これって、イモリ?」 「よく判らんが、川ん中では1匹もイモリは見かけなかったんで、もしかしたらソレは『ウーパールーパー』ってヤツとちゃうかーあ? デカくなったら手が引っ込んでイワナになって泳ぎだすんだべな。。。だからイワナって、動きが遅いんだべ。。。」 うむーう。。。なるほど。。。妙に説得力のある説明です。(・_・;)? 手?が4本生えた怪しいイワナの稚魚「ウーパールーパー」を逃がして一段落。。。と思ったら、さっき釣り上げたエダマメちゃんが水溜まりの中で無視されてクタッとなってました。 「ゴメン、ゴメン」 数十匹のエダマメとチビワナを釣り上げたモモ兄ちゃんとAstrum。 いわゆる「型を見た」のは、モモ兄ちゃんがヤマメとイワナ1匹ずつ。 Astrumは、イワナ1匹だけ・・・・・・とほほほ。。。 いいかげんエダマメ釣るのも飽きたのと、「もっと手応えのあるサカナを釣ってくれ〜え」という久々登場のマイロッドの嘆きが聞こえたので、場所を替えることにしました。 車で20分程走って降り立った川は、フライ雑誌にも頻繁に登場する有名なデカイ川です。 見渡すと、エサ釣りのおっちゃんが二人ほど先行してます。 まあこの時間からだからしゃーないよね。 ということで、後を追っかけるように釣り上がるAstrum。 予想されたこととはいえ反応がほとんど無いんで、モモ兄ちゃんは堰堤の上でシエスタ(午睡)を決め込んでしまいました。 いつも通り釣りに夢中のAstrumは、堰堤の先に釣り上がり、首尾よく1匹のイワナをネットイン!! 16cmほどのイワナ君です。 同じ場所にまだ居るかも・・・・・と思ってフライを投げると、突き出た岩の向こう側で縞模様がチラッと見えました。 サカナだツ!!と思った瞬間、そのサカナはまっすぐこっち向かって水面を滑るように泳いできます。 ぞわわわ〜ぁ。。 全長1.6mの偽イワナでした。。。 人の足元まで来て、石の下をUターンして石の上から川に向かって顔を覗かせてます。 どうやら、コイツもライズ待ちらしい。。。。(・・;) シエスタから覚めたモモ兄ちゃんも合流して釣り上がると、ヌケルヘアーカディスに小さく反応が。。。 この川のサカナは、どうもフライへの反応が小さい感じがします。 だいぶ叩かれて、鍛えられてるような感じです。入渓者多いんでしょうね〜え。 それでも、22センチのイワナが釣れて、マイロッドの不満も解決したんで大満足です。 この辺りのイワナは背中が虫食い模様になってなくて、ぜんぶ白とか朱色っぽい斑点をまとっています。 そうこうしているうちに、かなり離れて先行していたエサ釣りのおっちゃん達に近づいてきました。 エサ釣りおっちゃん達、なんかこっち向いてジーツと睨んでるような・・・・σ(^_^;)? 気にせずに釣っていると、いつの間にか距離が、あと50mというくらいになってます。 へっ? まださっきとおんなじ所で釣ってるはず??? よくみたら、向こうが釣り下って来てるのでした。(^_^;) んで、やっぱりなんか睨まれてるような感じ。。。 睨んでるのは私じゃなくって、たぶん釣り糸に結んである目印なんでしょうけど・・・・。 「モモ兄ちゃん、あのエサ釣りのおっちゃん達、釣り下ってきてるよネ。なんかガン付けられてる気がしない?」 「んだんだ。このまま接近しても釣れんだろうから、ここらで終わるかぁ。。。」 たしかに・・・・・。 なんかイチャモンつけられたら、絶対負けます。 向こうは関脇と小結。それに対してAstrumとモモ兄ちゃんでは序の口か序二段という感じ・・・・。 いつも思うんですけど、エサ釣りの人って、やたら岩石顔のコワそうな人が多いような気がするのは私だけですかねぇ。(^_^; 話してみると、わりと気さくな人が多いんですけどネ。。。 お気に入りの「中ノ沢温泉」の「西村屋」さんで硫黄分のタップリ入った気持ちのいい温泉に浸かって疲れをほぐし、中華料理屋で青森産ニンニクのたっぷり入ったギョーザ4人前をたいらげたモモ兄ちゃんとAstrumは、硫黄分とニンニク臭をモーレツに振り撒きながら無事帰宅したのでした。
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