<送り盆の怪奇>

いつものお決まりの時間に、自宅を後にしました。
カーオーディオからは、いつものお気に入りのK−Popと思いきや、なぜか某国営放送監修の『やさしい韓国語会話』のCDだったりします。
なんでそんなもん持ってるんでしょ・・・ワタシ。。。┐(´-`;)┌さぁ・・?

オディ カセヨ? (どこに、行くのですか?)
カンエ カル センガギエヨ (川に行くつもりです)
チョシメソ カセヨ (お気をつけて)
ヨルシミ ハゲッスムニダ (がんばります)


・・・と韓国語会話を練習しながら山深い峠の道を走ります。
二つ目の峠を越えると、山岳から流れ出した川に沿って、車が1台やっと擦れ違える程度の細い道路が山間を縫うように続いています。
左側は鬱蒼とした雑木林。右側は崖の下を流れる川。

目指す渓流の入渓地点まであと約5キロという長い下り坂のところまで走ってきたとき、突然左側の路肩に動く影を見つけました。
『ドキ〜ン』
思わずブレーキを踏みます。

ヘッドライトに照らされた先には、ベージュのコットンパンツに白いポロシャツ、そしてカンカン帽という恰好の自転車に乗った70歳くらいのおじさん。
反射板の付いてない自転車で、しかも無灯火。
林の影に自転車を寄せて、私の車をやり過ごそうとしているようです。
時間は、午前3時半。
「こんな時間に、よくこんな真っ暗い中を無灯火で走れるな〜ぁ。。。なんだか場違いな感じの洒落た恰好のオジさんだね。。。でも、危うく轢いちゃうトコだよ・・・。」と思いながら、ルームミラーで後方を確認しつつ目指す渓流の入渓ポイントに急ぎます。

程なくして、いつもの道路脇のパーキングスペースにクルマを停めました。
まだ明るくなるまでには時間があるな〜ぁ。。。と思いながら、ドアを開けてルームランプの明かりの下で、道路に背を向けてウエイダーを履き、クルマのステップに足を掛けてウエイディングシューズの靴ヒモを結んでおりました。

すると、シャリシャリシャリという音が近づいてきました。
首から上だけ振り返って見ると、道路の真ん中を白っぽい服装にカンカン帽の自転車が通り過ぎて行きました。
「あ〜ぁ、さっき抜いてきた自転車のお洒落なオトーサンだわ。。。」
と思って再び足元のシューズのヒモに目を落とした瞬間!!
σ(・_・;)エッ・・・・?

ぞ、ぞ、ぞわわわ〜〜〜!!

そのカンカン帽のオジさんの自転車・・・・先ほど追い越して来た峠の方向と逆方向から走ってきたんです。。。

背筋に悪寒が走り、寒気が止まりません。脇の下に冷たい汗が流れます。
考えれば考えるほどヘンです。
道は長い下り坂です。
追い越して来た時間からすると、ちょうど通りかかるくらいの時間なのは間違いありません。
でも、反対方向から走ってきました。
一旦、坂を下って、また上っていった?
そんな距離じゃないし、車の外で着替えてたから、下って行くのを見逃すのも考えにくい状況です。
思えば、ゆるい上り坂なのに、けっこう早いスピードでした。
無灯火の黒い自転車、白っぽい服装、カンカン帽・・・・・・。

ダメです。とりあえず逃げます。
数キロ先のガソリンスタンドのある交差点のところまで、ハンドルにしがみつくように前かがみになって、ルームミラーを見ないようにして、前だけを睨んでアクセル全開で逃げてきました。


・・・・・・To be continue


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