あの夏の日から始まった。
小学2年生の初夏、親父に連れられて近くの川にフナ釣りに行った。親父が餌の赤ミミズを付けて川に放り込み、竿を手渡してくれる。当時僕はセルロイド製の玉ウキがどんな意味を持つのかさえ解らなかった。30分ほどは何の反応もなく、じっとしている事に飽きてきた僕は、川続きの田んぼの方に遊びに行った。
しばらく経ってから、ウキを見つめ続けていた親父のもとに戻ってきて自分の竿を持ち上げた瞬間、自分の手元には竿先のあきらかな生命反応が伝わっていた。後ろの藪の中まで飛び込んだ糸の先には、12〜3センチの銀鉛色のマブナが跳ね回っていた。「釣れたーァ!!」という叫び声。親父の慈愛に満ちた笑顔。銀色のブリキのバケツの中でグルグル泳ぎ回る魚。あの新鮮な感動と驚きは、30年以上経った今でも、僕の幼少の思い出の大きな1ページとして色褪せることはない。
親父はあのとき、どういう気持ちでいたんだろう。初めて息子に魚を釣らせた安堵感か。単に釣れたことに対する喜びか…。
自分に子供が生まれて、初めていっしょに釣りに行き、子供に魚が掛かってくれたとき、安堵感が先にきた。ふと思った。親父はあのとき、自分で釣った魚の竿を、そのまま僕の竿と入れ替えていてくれたんではなかろうかと…。
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